
この話題、ちょっと時流に乗り遅れてますかね?
これから夏休み、合宿などがあり学校などでもいっそう練習が盛り上がる季節です。
それに伴い、練習中の事故も増えていきます。
そんなこんなで武道における体罰の問題について、特定の団体や個人への言及は行わない範囲で書いてみたいです。
武道における体罰は、一般的に日常的に行われているように思われがちです。
しかし私自身の経験と印象では、他のスポーツと比べ指導者や上級生が手を上げることが少ないように感じます。
私自身いまだかつて、体罰というものを受けたことがありません。
もちろん練習で突いたり蹴ったり投げられたりはあります。
しかし、懲罰として暴力が行われるというのは経験がありません。
そもそも誤解をおそれづに言ってしまうと、武道そのものが暴力といいますか力の行使を目的としている部分があります。
その前提の下、指導者などがより抑制的に振舞うという現実があります。
そもそも暴力的な空間で、暴力を手段として用いてしまうと、歯止めが利かなくなる恐怖感は、武道にたづさえある人であれば誰しも知るところです。
また体罰の有効性についても、おおいに疑問であります。
そもそも武道は非常に個人的なものです。
軍隊のように全員に一定のレベルを要求するものではありません。
子供などが練習に集中力を欠くような場合などは、体罰も一定の効果を発揮する場合もあるかも知れません。
しかし反面、それは自分で判断する力を奪い、武道が要求する対応力などの発達が阻害されます。
軍隊のように強制的に徴兵された人をいかなる状況でも命令に従わせ戦わせる訓練を行うのとは、武道は根本的に違うのです。
(実際軍隊でも精鋭部隊になればなるほど、個人の判断力を重視するそうですが・・・。)
簡単に言えば、ある一定のレベルに達するには、体罰はある程度有効。
それ以上に高いレベルを目指すには、体罰はむしろ有害。
といえます。
体罰は、集中力やモチベーションの維持に不可欠との考えもあります。
しかし一般的に言って、武道の修練は義務ではなく個人の問題。
モチベーションは、自分で維持しなければなりません。
とくに代表選手になるような人は、そもそもじぶんでモチベーションが高められる人です。
たしかに、疲れてきて集中力が低下してきたときの指導者の一喝は有効です。
しかしそれは最後の力を出し切るときこそ有効であり、常態化していてはあまり意味がありません。
またそれは体罰が伴う必要までは無いです。
私自身、試合で闘志を失いかけているとき信頼している先生がインターバルで「寛一朗、顔を上げなさい!!」という怒声はこれよく私を奮い立たせてくれました。
最後に一番大事な問題です。
武道上達の秘訣に、柔軟性があります。
これは体の柔軟性のみではありません。
心・技・体、すべてが柔軟であることが、武道の最終目標でありまた上達のコツです。
暴力によって支配・教育されると、どうしてもその恐怖から緊張してしまいます。
不必要な緊張は、体の動きを硬くし判断力を低下させます。
これは上達のためには、大きな障害になります。
真に強い選手や武道家を養成するには、体罰はむしろ有害といわざるをえません。
まあ、これらは武道だけではなくありとあらゆるスポーツ・習い事(塾とかもかな?)同じなんだと思います。
これから暑くなって、指導者だけでなく親御さんなんかもイライラしてしまうことが多いと思います。
そんな時自分の感情をたたきつけるのは、チョット待ってみましょう。
追記、
武道研究家の人のブログで、武道に体罰は不可欠と豪語している人がいました。
こういう人に限って、たいした練習をしてきていないことが多い気がします。
自分たちの世代でも、駄目なやつに限って「自分は幼少時代、親に厳しく育てられた。」って語るんですよね。
まあ御立派なことです。
そういう人には、私はかなわないですよね・・・。