2014年06月18日

側対歩の事。



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和式馬術の重要な技法に、「側対歩」があります。
これは、写真のように馬の後肢と前肢が同時に前にです歩様です。
通常は、右後肢がまえに出るときは、左前肢が前に出ます。
これを「斜対歩」と呼ばれ、こちらが正規の馬の走り方です。
馬術教本でもこれをもって、「速足」と規定します。
これに対し、「側対歩」は右後肢が前に出るときは右前肢が前に出ます。

側対歩は斜対歩に比べ、馬上のゆれが少ないことが多くのメリットです。
ですから騎手・荷駄に負担が少なく、崩れにくいです。

実際この「側対歩」実践できるのは非常に稀有です。
私が知る限りでは、宮内庁内の馬両課と北海道の道産子、
そして、名古屋大学和式馬術部のみです。
北海道でも本来の道産子は側対歩であるべき、といわれているものの、すべての道産子の運用者がその実践を行っているわけではないのが現実です。

これしかし、和式馬術における重要な技術である事は間違いありませんが、
なにも和式馬術特有のものというわけではありません。
じつはアメリカの伝統的な馬術においても側対歩がみられます。
その昔、広大な農場の見回りをしなければならない農場主は、馬に乗ってこれを行いました。
ゆっくり歩いていたのでは、広大な土地ですので見回りが終りません。
かといって駆け足で疾走していたのでは、馬がすぐに疲労してしまいやはり広大な土地は回りきれません。
しかし速足は乗馬を知る人は御存知のように、騎手がつかれます。
そこで騎手に負担が少なく、長距離を一定のスピードで走れる「側対歩」の馬が好まれました。

「側対歩」考えてみれば、明治になって西洋教育が行われるまで人も側対歩でした。
日本人は昔は「松の廊下」や遠山の金さんの「御白州」のように側対歩で歩いていたといわれます。
少し前に「ナンバ歩き」などといわれ、負担の少ない動きとしてスポーツに取り入れられたりしていました。
いまでも、武道については側対の動きが多く見られます。
そう考えれば、なるほど馬術も武道でありこの側対歩は日本の文化にあっていたといえるかもしれません。

そういわれてみれば、ラクダも「側対歩」ですね。
ラクダの足の長さと背の高さで、ゆれの大きな「斜対歩」で走られたら、騎手はあっという間に振り落とされてしまいますね。

posted by 三国 at 23:23| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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